【新聞記事より】眼内レンズ、入れ替え不可

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【新聞記事より】眼内レンズ、入れ替え不可

2019/06/17 

白内障の手術では、濁った水晶体を取り除いた後に、眼内レンズを移植する。遠近どちらか一方にピントの合う「単焦点レンズ」と、遠くも近くも見える「多焦点レンズ」がある。単焦点レンズは術後もメガネが必要だが、多焦点レンズなら老眼も治り、眼鏡から解放される。最近、3つの焦点を持つ多焦点レンズが国内で許可され、先進医療の対象として認可施設で使用が可能となった。多焦点レンズは夢のようなレンズだが欠点もある。光を複数の焦点に分けるため夜行街灯に光の輪が見え、暗い所では小さい文字が見えづらい。納得の上、手術を受けても、移植された多焦点レンズの交換を希望して来院される患者さんがいる。眼内レンズの直径は6㍉㍍で手術の創の大きさは2~3㍉㍍。レンズは水晶体を包んでいるカプセルという透明な薄い袋の中に移植され、カプセルはクモの巣のように繊細な組織で眼内に固定される。術後1~2週間以内であれば、前のレンズを眼内で切断して新しいレンズを再移植することが、技術的には可能だ。しかし、時間がたっていると、カプセルはしっかりと眼内レンズを包み込み、真空パックしたような状態で固まっている。無理して摘出しようとすると、最悪の場合カプセルも取れてしまい、眼内レンズを再移植する場所がなくなってしまう。手術後に角膜が濁ってしまうこともある。また、再移植された眼内レンズは、初回手術できれいにカプセル内に移植されるレンズとは微妙に位置が異なるため、術後、希望通りの見え方にならないこともある。どの多焦点レンズでも万人向けのものではない。中には単焦点レンズの方がふさわしい人もいる。眼内レンズの選択は慎重に。主治医と十分納得がいくまで相談して決めてほしい。多焦点・単焦点にかかわらず、いったん移植されたレンズは交換不能だ。一生涯大事に使うものと心得ていただきたい。(秋葉原アイクリニック 赤星)

多焦点レンズの街灯の眩しさの許容範囲は人それぞれですが、夜に運転をする方は特に注意が必要ですね。

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